頭の形(斜頭症)について
なぜ横井こどもクリニックが生後1か月の早期から理学療法に取り組み始めたのか?
それは枕や寝かせ方による向き癖の調整を行っても3ヶ⽉以降ではほぼ効果がないからです
最近、頭の形の変形に関してご相談いただくことが増えております。不慮の事故を防ぐため、うつぶせを避けてあお向けが推奨されたことも影響し、1歳未満のお子さんの大部分で頭の形のゆがみがあると言われています。多くのケースでは自然に頭の形のゆがみは解消に向かいますが、高度な場合は完全に治らないこともままあります。
理学療法とは、お子さんの向き癖や体位を調整することで、頭の⼀部分に⻑時間重⼒がかからない体勢を作ることです。1カ月健診を終えて、向き癖や頭の形の変形が強いようであればまずはご相談ください。当院では形の斜め側に対していかに圧をかけないようにするのかなどをアドバイスいたします。こういった理学療法の効果を効率的に得られるのは生後2か月までで、この間に何も介入を行わない場合は、向き癖の強いお子さんだと頭の形はより変形が進行してしまいます。
早産の方や入院期間の長い方は先天的に形の変形のリスクが高いとされます。また、単に向き癖だけでなく、斜頸(首の筋肉にできるしこりのせいで一方向にしか向けない)や股関節形成不全(以前は股関節脱臼ともいわれ、冬生まれの逆子の女の子に多いとされる)による向き癖ではないかを判定する必要があります。正確な評価には3Dスキャンによる後頭部の左右対称率(体積)などの数値化が必要です。
生後3か月の時点で形の変形が気になるようであれば、症例豊富なクリニックや病院も紹介可能です(一部の施設では高名な医師を顧問に据え、初診時からヘルメット作成ありきで診療が進むことがあります)。また、ヘルメットによる矯正ではレントゲンや超音波撮影により縫合(頭蓋骨は複数の骨がパズルのように組み合わさっているが、その骨と骨との間)が空いているかを確認する必要もあります。
頭の形の変形により、将来的にメガネがずれやすい(眼精疲労、頭痛)、髪を結んだときに変形が目立ちやすい、などのデメリットはありますが、発達障害などの脳内の問題とは関連がないとされております。また、図の3(後頭部の左右差+耳の位置やおでこの左右差)以上の状態だと⾃然に改善するのは2程度までです。
ヘルメット治療はあくまでも⻑時間(23時間程度)被ることができ、頭囲が成⻑する前提の上で成り⽴つ治療であり、その装着期間は半年程度とされています。治療の有害事象は主に皮膚トラブルですが、治療を中止するほどの重症例はごく稀です。また、治療を希望されるのであれば、帽子をかぶっても本人が嫌がらないのか確かめるなどヘルメット作成後のトラブルの可能性を減らす努力や、保護者が治療終了後に想像している頭の形と卒業時の頭の形の差を受け止めることも必要です。
※頭の形のご相談は一般診療ではなく、月火水金の午後の健診の枠(13時半から15時半まで)でお願いします。