乳幼児健診について
お子さんの健康状態を把握し、様々な病気の早期発見・早期治療につなげていくには定期的な健診が欠かせません。乳幼児健診では、成長・発達、栄養状態、先天性疾患を含む病気の有無、予防接種の時期や種類の確認などを行います。乳児期で2か月、幼児期で4か月以上の遅れを認める場合には再評価が必要ですので継続的にフォローいたします。
育児上のお悩みもご相談ください
乳幼児健診の主な目的は、早期に病気や発育・発達の妨げとなる要因を見つけることですが、この他にも、お子様の栄養状態の確認や、育児上のお悩みを伺って適切なアドバイスを行う役目も担っています。お子さんのことで日頃から気になっていることなどがございましたら、遠慮せずにご相談ください。(具体的な悩みの内容をあらかじめメモしておくと、効率よく質問できますし、聞き忘れも防げます)。母子手帳を活用し、聞きたいことをメモしてくると良いです。
3~4か月健診
首がすわる、声を出して笑う、母親の顔をじっと見る、ようになります。また、1日のリズムが安定しはじめます。
母乳やミルクが足りているか心配される保護者の方も多いですが、お子さんの体重の増え具合をみて判断します。逆に体重増加が良好だと成人期の肥満を心配されることがありますが、関連はありません。
これまで気付かなかった先天性の病気が見つかりやすい時期でもあります。停留精巣や鼠径ヘルニア、血管腫、心疾患などが挙げられます。
6~7か月健診
寝返りをする、お坐りをする、物をつかむ、人見知りをする、ようになります。また、身長や体重の個人差が目立ち始めます。
行動範囲が広がり、小さなものもつかめるようになり、何でも口に持っていこうとするため、誤飲・誤嚥には十分注意しましょう。
手をついて座り、その手が離せるようになり、後ろが向けるようになったら、ハイハイの準備が整ったと思いましょう。
9~10か月健診
ハイハイ、つかまり立ち、指でつまむ、後追いができるようになります。
社会性が身につき、お子さんから体を乗り出して抱っこしてもらいたがる、シャンシャンやバイバイなどの動きを真似します。また、大人の言うことを理解できるようになり、「ダメと言われてちょっと手を引っ込め、親の顔をじっと見たり」しますし、いろいろな喃語を発するようになります。
行動範囲が急に広がり、家庭内の事故が多くなりますので、ご家庭の環境をもう一度見直してみましょう。
1歳6か月健診
上手に歩く、言葉が始まる、コップが使えるようになります。
1歳6か月になると上手に歩けるようになり家の中ではあまり転ばなくなります。動きを真似することが上手になり、「おかあさんといっしょ」を見ながら踊るようになります。
名前を呼ぶと返事をし、「〇〇をどうぞしようか」など簡単な言いつけを理解するようにもなります。このように聴力に問題がなく、指さしが始まっていれば、徐々に言葉が増えていく可能性が高いです。
一方、この頃にはこれまで見つかってこなかった軽度の発達の異常が見つかることがあります。
3歳健診
自分の姓名を答える、丸を書く、昼間のおむつが取れる、ようになります。
手を使わずに一人で階段を登れ、ごっこ遊びをはじめます。また何でも自分でやりたがるようになり、短い文章を話すことができて、質問をよくするようになります。
生活習慣では、昼間のおむつが取れはじめ、食事をこぼすが1人で何とか食べられるようになります。
広汎性発達障害などの発達障害は、この時期に早期発見し、保護者の方と共に対応方法を検討します。
スポットビジョンスクリーナー(視機能スクリーニング検査)
お子さまにこんな様子はありませんか?それは視機能の異常ではありませんか?
- テレビを近くで見ている(離れると見づらそうにしている)。
- 顔をしかめたり、目を細めたり、上目遣いをして見る。
- 顔を傾けたり、回して横目で見る。
- 明るいと片目をつぶったり、1人で階段を上るときは手を使う。
- クレヨンなどで丸(円)を描かない。
生まれたての赤ちゃんの視力は明るさが分かる~0.01程度ですが、生後3か月で0.05、6か月で0.1くらいになり、その後急激に視力が発達して3歳過ぎまでに70%程度のお子さんが1.0程度の視力になります。一方で乳幼児は0.2程度の視力でも日常生活を不自由なく送ることができるため、弱視であっても家族でさえ気付かない場合が多いのです。
一般的には両目でものを立体的にみる能力(立体視)がある程度完成する3歳時の健診で視力検査が行われますが、子供が返答する形式のために弱視を中心に視覚障害がたびたび見落とされる可能性があります(弱視は50人に1人)。視力の発達の遅れによる弱視は、早期に発見し有効な治療を受ければ治癒が期待できます。治療の開始が3歳までだと95%、7才までだと75%程度に改善が見込まれるため、治療に最適な時期は1歳半から8歳までと言われています。すなわち、8歳までには視機能の異常を発見し治療に結び付けるべきでより早く気が付くことでお子さんの明るい未来につながります。
スポットビジョンスクリーナ―(SVS)は生後6ヶ月から大人の方までの「見え方」すなわち視機能の異常である屈折の異常(近視・遠視・乱視)、斜視を評価します。小さいお子さんなら保護者のおひざの上で、ひとりで座れるお子さんは椅子に座ったまま、数秒から数十秒で検査できます。こわいことも痛いことも一切ありません(点眼などの前処置も不要ですが、お子さんの動きが激しく大泣きの場合には検査ができないことがあります)。行政の定めた乳幼児健診(6-7ヶ月健診・9-10ヶ月健診・1歳6か月健診など)や有料の健康診断(入園・入学など)を当院で受けられるお子様には、健診の一環として検査を2回まで行うことができます。本検査をご希望の方は月・火・水・金の午後の健診の枠でご予約下さい (木曜午前は行っておりません)。
また以下の点にご留意ください。
- 要精密検査の結果が出た場合には少なくとも計2回の検査が必要となります。
- SVSでは確定診断はできませんので検査結果によっては当院と連携する眼科へご紹介します。
- もちろん前記の健診以外でもご希望があれば行いますが、その場合は自費検査料1000円(税込み)がかかります。
お風邪や耳垢とりで当院をご利用いただいているとクリニックの雰囲気にも慣れるので、泣いてしまって検査ができないような事態が避けられると思います。