現在までの動向と問題点
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による医療資源の圧迫が成人の領域に集中したため、現在の医療体制は成人の患者さんを念頭において構築されています。
- これまでに様々な変異株を経験してきましたが、いずれも子どもたちにとっては比較的軽症で済む傾向にあります。
- 第六波と言われる2020年1月から2月に当院でも100人程度の陽性患者さんを診察しております。保育園クラスターの家族内感染から小中学校や塾のクラス内での感染まで、幅広い年齢層の子どもたちの感染を認めています。
- 一方で子どもたちに対する体制の整備が遅れており、特に入院管理となった場合には全面的な介助が必要で行動の抑制も難しいため、現場での医療従事者への感染伝播や院内感染のリスクが高い状況が発生すると考えられています。
- オミクロン変異株のように急速に感染拡大すると、短期的な累積患者数が1万人を超えた時点でほぼ保健所による健康観察は困難となり、子どもたちの自宅療養の安全性を担保することが急務となります。
現時点での対応
- 軽症のお子さんは原則として自宅での療養を考慮しますが、解熱剤が無くても解熱がえられているような状態まで電話などでかかりつけ医が再診を行い、お子さんの状態を確認することが重要です。
- 生後3か月未満の乳児が発熱した場合は他の重症な感染症の可能性も考慮すべきであり、速やかな受診が必要です。年長のお子さんでも発熱の持続や呼吸症状の悪化等がみられた場合は、速やかに相談しましょう。
まとめ
- COVID-19はいわゆる‘かぜ‘と症状が似ており、手洗いやマスクといった標準的な感染対策が上手くできない小児への感染拡大を防ぐためにも、①成人が家庭内に持ち込まない、②適応のある方が順次予防接種を受けていくことが重要になります。
- お子さんの平時の状態、かぜをひいたときの特徴、などをかかりつけ医に知っていてもらうことで、COVID-19にかかった際の自宅療養での問題点を共有しやすいと思います。「COVID-19にかかった際も診てくれる、かぜのお医者さん」と上手に付き合いましょう。
当院は小児におけるCOVID-19対策として行政より以下の認定を受けています。
- 診療・検査医療機関
- 健康観察等支援事業の協力医療機関
出典
- 「データベースを用いた国内発症小児Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)症例の臨床経過に関する検討」日本小児科学会雑誌2021.05
- 「小児における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状と感染対策についての見解」日本小児科学会2021.05
- 「小児の新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制に関する見解 〜入院や付き添いの考え方も含めて〜」日本小児科学会2022.01